古矢 清さん・冷子さん](https://www.resortwedding.info/global-image/units/img/25531-1-20250717135811_b687882e31f05b.jpg)
ふらんす食堂 ビストロ ローヤル [Bistro Royal](シェフ・マダム)
古矢 清さん 冷子さん

尾瀬での運命の出会い
ふたりの縁のはじまり
友人を介してお互い19歳の頃に出会ったおふたり。偶然の重なり合いが生んだ運命とは。
知り合いがやっていた尾瀬の山小屋に時々行っていたのです。主人と初めて出会ったその時も私は女性2人で行っていたから、帰りに山小屋のオーナーから、「女性2人より私の友人と一緒に帰った方が安心だよ」と言われて、その方とご一緒することに。帰り道に尾瀬ヶ原で山小屋のオーナーの友人と知り合いで、別に遊びに来ていた主人と偶然出会って立ち話、その時はそれだけ。のちのち何度か会っているうちに、将来お店をやりたいって言っている主人をいいなって思い始めたの。当時私は銀行の預金窓口で仕事をしていたのだけど、銀行員と結婚するより将来お店をやりたいっていっているシェフの方が面白そうで自分を発揮できるかもって。こちらも接客やお金勘定できるでしょ。たぶんシェフも銀行の窓口嬢なら、いいなってちょっと思っていたのじゃないかな。
特別にお付き合いしていますという感じじゃなかったのです。職場もたまたま銀座と八重洲という近い場所で、ずっと友達として気軽に付き合っていたのです。
度重なる縁が紡いだ
ふたりの友愛という繋がり
わたしたちは、恋愛結婚といよりは友愛結婚かな。
もうすぐ20歳の誕生日という頃、小田原のシェフのお父様の有名レストラン「ローヤル」に尾瀬でご一緒した友人に連れられて遊びに行ったんです。
そう、父の知人が偶然にも彼女を連れて遊びに来ていたのだ。僕もお盆休みで会社の仲間と小田原の海に潜りに帰って来ていて、そうしたらまた出会って、あの時の人だねってなって。
その時は夏で、9月が私の誕生日だって話をしたら、シェフが僕は11月なんだよって。じゃあ私がちょっとお姉さんねって。
そうしたらシェフのお母さんが「あなたは東京なの?うちの息子は銀座マキシムに行っているのよ」って言うの。「息子のところはお茶も飲めるから、あなたもお茶飲みに行ったらいいわよ」って。家に帰ってから2歳上の姉に、マキシムの人に知り合って、お茶飲みに来たらって言われた話をしたら、姉が「やたらに行けないところだから、ぜひ行きましょう」と。その週の土曜日にはマキシムに行きました。そうしたら、小田原では子どもっぽいなって思っていた人が、コック帽・コック服を着て挨拶に来てくれた姿が、大人でかっこいいなーと思って。それが8月半ばで、9月の誕生日前に電話がかかってきて、会いましょうってなってね。お誕生日に美味しいアマンディーヌのタルトをくれました。今までスポンジケーキしか知らない私には、アマンディーヌのタルトは衝撃的味わい!こんなケーキが世の中にあるのかって感動したの。食に惹かれた気がします。その後、さりげなくすり切れたナプキンで包んだ自家製ドレッシングももらったりして。
姉も「マキシムの人なんてやたら出会うものじゃないんだから、友達としてリーチしておきなさいよ」って。姉の言葉にも後押しされたかも。


箱根からのご縁
パレスホテルでの結婚式
結婚式は東京のパレスホテルだったんです。それもシェフの箱根での縁があって。
父が富士屋ホテルのシェフを経て小田原に店を出したので、子供の頃は小涌谷に住んでいました。隣の家の方も富士屋ホテルにお勤めしている方で、家族ぐるみで仲良くお付き合いしていました。結婚をするのにその方に仲人をお願いに行ったら、その方は当時パレスホテルの宴会部長をされていて、その場でパレスホテルの宴会場が空いている日を確認してくれて、その場で翌年3月9日の大安に決めちゃったのだよね。
私の中では、こんな高級なホテルでやるような家じゃないのにって思ったんです。6人兄弟の末っ子で、結婚式の費用は自分で払うのもわかっていたので、こんな高級で立派なホテルで大丈夫かなって、ちょっと不安になったりして。でもシェフはそんな心配もなく、すぐその日にしようって。
結果パレスホテルで良かったと思っています。他の結婚式場も見に行く予定だったけど、人のご縁を感じたから、どこも見ないでパレスに決めました。当日は約150人のゲストにいらしていただけて素敵な結婚式になりました。
つい先日、パレスさんから金婚式のディナーにご招待をいただき行ってきたんです。
ディナー前に改築されたチャペルや神殿を案内してもらい、今の幸せは結婚式の時の幸せな気持ちから繋がっているんだなと感じました。


東京の生活から小田原へ
地元でビストロローヤル開店
結婚当初は彼女の実家に近い方が良いということで、私が住んでいた恵比寿から赤羽の方へ。結婚してから5年、子供が4歳の頃に小田原へ戻ることに。当時まだ小田原へ戻ってお店をやろうとは思ってなかったのだけど、父から「小田原駅の近くに良い出物があるから帰ってきてやらないか」って言われて。それが夏過ぎで、11月21日にはオープンすることに。急にはマキシムを辞められないから、10月末まで勤めていました、その間準備で小田原と東京を何回も行き来して開店準備のことなど打合せが忙しかった。
29歳の若さでの開店でしたが、その3年位前から毎月第一日曜日に父の店で、私がメニューを決めて調理して、マダムがサービスのお手伝いをして、マキシムフェア的な感じのイベントを開催していたので、オープンした時も「ローヤルの息子が店を始めた」と言う事で、スムーズに開店出来ました。
私はもう一人子供を産んでからやりたいな、って思っていたのですが、タイミングってあるから、決心して小田原に移住しました。小田原の環境は抜群。海や山が近くにあって。
海や山が近くて空気がいい。自然の豊かな恵み、昔の先人たちが選び住んだのが良くわかる。現代的にいえば、これだけ東京に近くて、新幹線は止まるし、そういうところに住んでいるというのが、東京から帰ってきてとても大切に感じます。それに温泉に入りたければ箱根もすぐですしね。
2025年結婚50周年金婚式
地元でたくさんの方に祝福を
11月のお店のオープンと同じ時期に引っ越しもあったのですが、そのドタバタの中で息子の5歳の七五三を報徳二宮神社でやったんです。
今年ちょうど金婚式で、私がたまたまタウン誌で報徳二宮神社・報徳会館で金婚式の夫婦を招待してくれるというイベント(春の縁遊会)を見つけて申し込んで行って来ました。御祈願もしていただいたのですけれど、報徳二宮神社で御祈願は息子の七五三以来45年ぶりで。今回当時の宮司さんの息子さんが宮司さんになられていて、それもとても感慨深かった。やっぱり縁を感じましたね。
その時のパーティーで、今の富士屋ホテルの総支配人ともお会いしたり、本当に縁を感じる会でしたよ。他にも久しぶりの方やお世話になっている地元の方々が大勢いらしていて。
僕たち結婚記念日が3月9日なんですけど、一番早い日だったみたいで、その日は呼ばれるのも話すのもすべて一番最初で、緊張しました。
今回たまたま見つけた報徳二宮神社の金婚式招待イベントでお祝いしていただけて、沢山の方たちにお会いできて、小田原でレストランを45年頑張ってきて、いろいろなご縁や繋がりを感じ報われ、満足感と感謝の温かい素敵な会でした。


認め合い、尊重し合うこと
それが夫婦円満の秘訣
夫婦も男と女では感性が違うから、本当に分かり合うというのはなかなか難しいかもしれない。でも、相手の考え方とか希望を認め合い、尊重しながら、感謝して、寄り添っていくことが大切かなって思います。
目的が一緒なら、行き方とか考え方は多少違っても、細かいことは気にしないことかな。深く考えすぎないで、お互いケセラセラで楽しく過ごせれば良いですよね。
地元の人に愛していただける
レストランを永くつづけていく
オープン当初から一貫していえるのは、お料理をゆっくり食べてほしいという想いで、丁寧に料理を作ることを大切にしています。料理は素材と愛情!だから、基本的にランチもディナーもアラカルトではなくコース料理。なるべく地元の食材を使うということも大切にしています。元祖SDGsだね。フランス料理だけど、フランスから空輸されたような食材はなるべく使わないで済むような料理、単価があがらないような料理の提供も心がけています。あとは、オードブルからデザートまで手作りしたいと思っていることかな。手作りというのは、料理の基本は水と素材から作るもの。スープやブイヨン、野菜をゆでるにしても、すべて水・素材から始まるから、お客様から何が入っているか聞かれてもすべて把握しているのでアレルギーの方などでも安心して食べていただけるお料理を提供したいと思っています。
地元の人たちに愛されるお店になれたら嬉しいです。移転前はちょっと敷居が高い感じもあったかと思うのですが、移転後は食堂跡地だったこともあり、気軽に気取らないで来てほしいという想いから「ふらんす食堂」というように名前もリニューアルしました。
今年75歳だけど、できるだけ永くつづけていきたいなと思っています。お客様からも永くつづけて欲しいって言ってもらえているので。そのためには、心も身体もストレスをためずに無理しないことが一番大切だと思っています。
健康で仲良く、お客様に喜んでいただけるお店を、感謝しながら続けていきたいです。まずは80歳までが目標です!

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