露木木工所(伝統工芸士) 露木 清勝さん

露木木工所(伝統工芸士)
露木 清勝さん

木工のまち小田原の魅力

小田原は、平安時代から木工(木地挽)が盛んに行なわれていました。
第五十五代文徳天皇の第一皇子惟喬親王はこの木地挽の祖として崇められ、全国に木地挽の技術を広めたという惟喬親王伝説が伝えられています。
ここ小田原市早川の「紀伊神社」は別名「木の宮さん」と呼ばれ、惟喬親王が祀られています。
露木木工所 寄木細工

受け継がれてきた技術
恵まれた自然環境

その後、木地挽の職人たちは原材料を求め、近くの箱根山にも移住して行きます。
小田原・箱根は、一大木工産地として発展します。室町時代には木地挽の器に漆を施した、小田原漆器も登場、戦国時代には北条氏によって保護・奨励されより一層の発展をすることになります。
また、箱根山は樹種の多さでも有名な場所で、白色系・黒色系・黄色系・緑色系などの美しさ、まさに自然の享受であり、その後の箱根寄木細工の発祥へとつながります。

アートとしての
寄木細工

西からの寄木の技術と小田原・箱根の古くからあった木工の技術、そして箱根の自然環境がうまく融合し、江戸時代の終わりには箱根の畑宿という場所で石川仁兵衛さんが寄木をはじめたといわれている。
最初は乱寄木というものが主流だったが、職人たちが切磋琢磨するのち、今のような繊細でアーティスティックな作品に。
石川仁兵衛さんはアーティストなんだろうな、と嬉しそうな笑顔を浮かべる露木さん。露木さんの祖父も畑宿出身で、丁稚奉公にでた小田原で開業することになったのだそう。清勝さんは三代目。現在は息子さんも四代目として活躍しており、親子2代で数々の賞を受賞している。
露木木工所(伝統工芸士) 露木 清勝さん

露木木工所 お皿

まちの中で出会う
寄木アートたち

この10年くらいは若手を中心とした木工職人と現代アートのアーティストと共同で年1回展覧会を開催しており、来年からは2021年9月にオープンした小田原のシンボル的なスポットでもある「小田原三の丸ホール」で開催。
そのホールの小ホールの壁面には若手9名のアーティストの作品が飾られており、ホールを訪れる人々にふれる機会となっている。アート好きな人にぜひ立ち寄ってほしい場所のひとつ。
そのほか、市内のお肉屋さんのサイン横の装飾や小田原駅新幹線構内の壁面装飾などにも起用されており、訪れる人の目を楽しませている。

暮らしを潤す
美しき伝統

小田原・箱根まちあるきでは、寄木を使ったアートを探してみるのも旅の楽しみのひとつ。
工房によって個性があるため、いろいろな工房やアーティストの作品にふれてほしい。寄木アートの未来は未知数。どんな彩豊かな変化をとげていくのか、これからがさらに楽しみである。木は唯一再生実現可能な原材料であり、日本の工芸品にとても大切な素材である。
露木さんは日本の伝統文化「寄木細工」を守るための活動も積極的に行っている。小田原・箱根エリアに訪れていただく目的のひとつとして「寄木細工」を大切にしていきたい、と語る。早川にある「寄木ギャラリーツユキ」では、露木木工所の作品たちにふれることができ、購入も可能なので、足を運んでみては。
露木木工所 茶筒

露木木工所(寄木ギャラリーツユキ)

所在地 神奈川県小田原市早川2-2-15
公式サイト https://www.yosegi-g.com